ミニチュアダックスフンドの椎間板ヘルニア~症状と病院にいくまでの注意点~
こんばんは、獣医師のポチです。
今日は椎間板ヘルニアについて書きます。
まずうちの病院にくる椎間板ヘルニアの患者さんの半分は、
ミニチュアダックスフンドの患者さんです。
他にもうちの病院には
チワワ、
ミニチュアシュナウザーも多いです。
でも圧倒的に多いのがミニチュアダックスフンドです。
なぜ多いのかについては、間接軟骨が普通の犬種と違うからです。
軟骨異栄養犬種と言われています
症状
多くの患者さんは何かのきっかけがあって発症することが多く、たとえば
・車から降りたら
・ソファーから落ちてから
・階段を一気に降りてから
・ほかの犬と激しくじゃれあってから
こういったきっかけの後に、
・歩き方は普通、でも元気がない
・よろよろしながら歩いている、歩き方がぎこちない
・後ろ足を引きずって歩いている
・座った状態で歩く、後足が全く動かない
・後ろ足も動かない、おしっこも出ていない
などの症状を理由に来院されるかたが多いです。
重要なポイントとしては、
段差があるところから降りたり、激しい衝撃を受けた後に
急に症状がでてくることです。
また後ろ足を上げてぴょこぴょこ歩くのではなく、
引きずっているということも大変大事な鑑別ポイントです。
この症状が出ていたら、病院が開いている時間ならすぐに行ってください。
病院が開いていない時間帯なら、まずは基本的に自分で歩かせたりするのは厳禁です。
狭いゲージに入れて、運動制限して病院があくまで待ちましょう。
理由は後で書きますね。
椎間板ヘルニアの成り立ち
難しい話は書きませんが、椎間板ヘルニアとは何か。
まずヘルニアとはある構造物が元の場所とは違う場所に、飛び出してしまう(逸脱といいます)ことです。
椎間板というのは脊椎(背骨)間にある軟骨のことで、脊椎間にかかる圧力を吸収してくれています。
椎間板軟骨は
中心の柔らかい髄核と
周囲のかたい繊維輪と
いう組織で構成されています。
髄核が枝豆の実で繊維輪が枝豆の皮です。
枝豆の皮を押すとプリッと実が出てきますが、ヘルニアも同様で、
無理な運動や、高いところからの落下の衝撃によって椎間板が圧迫されると、
中の髄核が繊維輪を突き破って、飛び出します。
その飛び出した髄核が、神経に衝撃を与えることによって、
神経にダメージを負わせることで、痛み、麻痺を生じさせるのです。
その飛びだした衝撃の強さで、神経症状は軽いものから重いものに違いが出てきます。
髄核が飛び出したということは、繊維輪破ぶけてまったためですので、
もし椎間板ヘルニアになって、症状がかるいものであったとしても、その後運動を続けてしまうと、髄核がさらに飛び出しやすい状況になっているため、悪化してしまいます。
そのため症状から椎間板ヘルニアが疑わしければ、病院に行くまでの間は絶対に歩かせたりしてはいけないのです。
特に記事最初に挙げたミニチュアダックスフンド、チワワ、トイプードル、ミニチュアシュナウザーなどが、上にあげた症状を示していたら、絶対にそれ以上は歩かせないよにしましょう。
治療については、かかりつけの獣医さんとよく相談して決めてください。