犬と猫が病気になったら読むブログー獣医師6年目ですー

犬と猫の病気について説明しています。

ミニチュアダックスフンドの椎間板ヘルニア~症状と病院にいくまでの注意点~

こんばんは、獣医師のポチです。

今日は椎間板ヘルニアについて書きます。

まずうちの病院にくる椎間板ヘルニアの患者さんの半分は、

ミニチュアダックスフンドの患者さんです。

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他にもうちの病院には

ウェルシュコーギー

チワワ、

ミニチュアシュナウザーも多いです。

 

でも圧倒的に多いのがミニチュアダックスフンドです。

なぜ多いのかについては、間接軟骨が普通の犬種と違うからです。

軟骨異栄養犬種と言われています 

症状

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多くの患者さんは何かのきっかけがあって発症することが多く、たとえば

・車から降りたら

・ソファーから落ちてから

・階段を一気に降りてから

・ほかの犬と激しくじゃれあってから

こういったきっかけの後に、

・歩き方は普通、でも元気がない

・よろよろしながら歩いている、歩き方がぎこちない

・後ろ足を引きずって歩いている

・座った状態で歩く、後足が全く動かない

後ろ足も動かない、おしっこも出ていない

などの症状を理由に来院されるかたが多いです。

 

重要なポイントとしては、

段差があるところから降りたり、激しい衝撃を受けた後に

急に症状がでてくることです。

 

また後ろ足を上げてぴょこぴょこ歩くのではなく、

引きずっているということも大変大事な鑑別ポイントです。

 

この症状が出ていたら、病院が開いている時間ならすぐに行ってください。

病院が開いていない時間帯なら、まずは基本的に自分で歩かせたりするのは厳禁です。

狭いゲージに入れて、運動制限して病院があくまで待ちましょう。

理由は後で書きますね。

 

椎間板ヘルニアの成り立ち

 難しい話は書きませんが、椎間板ヘルニアとは何か。

まずヘルニアとはある構造物が元の場所とは違う場所に、飛び出してしまう(逸脱といいます)ことです。

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椎間板というのは脊椎(背骨)間にある軟骨のことで、脊椎間にかかる圧力を吸収してくれています。

 

 椎間板軟骨は

中心の柔らかい髄核

周囲のかたい繊維輪

いう組織で構成されています。

 

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髄核が枝豆の実で繊維輪が枝豆の皮です。

枝豆の皮を押すとプリッと実が出てきますが、ヘルニアも同様で、

無理な運動や、高いところからの落下の衝撃によって椎間板が圧迫されると、

中の髄核が繊維輪を突き破って、飛び出します。

 

その飛び出した髄核が、神経に衝撃を与えることによって、

神経にダメージを負わせることで、痛み、麻痺を生じさせるのです。

その飛びだした衝撃の強さで、神経症状は軽いものから重いものに違いが出てきます。

 

髄核が飛び出したということは、繊維輪破ぶけてまったためですので、

もし椎間板ヘルニアになって、症状がかるいものであったとしても、その後運動を続けてしまうと、髄核がさらに飛び出しやすい状況になっているため、悪化してしまいます。

そのため症状から椎間板ヘルニアが疑わしければ、病院に行くまでの間は絶対に歩かせたりしてはいけないのです。

 

特に記事最初に挙げたミニチュアダックスフンド、チワワ、トイプードル、ミニチュアシュナウザーなどが、上にあげた症状を示していたら、絶対にそれ以上は歩かせないよにしましょう。

 

治療については、かかりつけの獣医さんとよく相談して決めてください。